こんにちは、受験コンサルタントの田中です。

こんな相談をもらうことが良くあります。高校2年生くらいになると周りの友達は志望校を決めていて、焦りの気持ちばかりが募ってくるのではないでしょうか。志望大学を早く決めなければ!と、心の余裕がなくなってしまう高校生も少なくありません。しかし、慌てて決めてしまい、自分に合った大学や学部が選べなかったとなっては非常にもったいないことです。
今回の記事では、志望校を間違いなく決める方法、そして、いつまでに決めておくのが良いのかということについてわかりやすく解説していきます。
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高2の冬を目途に志望校を絞ろう
結論から言えば、高校2年生の冬を目途に、ある程度志望校を絞っておくことを強くお勧めします。ポイントは「絞ること」です。これからの勉強によっては成績が伸びて、志望校が変わってくることもあるかと思います。おおよその方針や進学する可能性のある大学をいくつか調べておくこと、これを高校2年生の冬までには行っておきましょう。
志望校を早く決めるメリットは大きい
まず、最初に伝えたいのは、「志望校が決まっていないのは‟悪いこと”ではない」ということです。今、日本には810校もの大学があります(文部科学省「学校基本調査」令和5年発表)。学部の数は2000学部以上あって、さらに細かく学科や専攻に分かれてきます。こんなにたくさんの選択肢の中から、第1志望を選ぶということは簡単なことではありません。これから将来や就職など、進路を大きく左右する問題なので、迷って当然です。
それなのに、なぜ高校や塾の先生は「なるべく早く志望校を決めなさい!」と言うのでしょうか?なぜ志望校決定を急かすのか?それは、単純に「早く決めるほどメリットが大きいから」です。
メリット1:試験科目を絞ることができる
第一志望の大学・学部が決まると、試験科目が自動的に決まります。それにしたがって併願校もある程度決まってきます。試験科目がわかることで苦手を克服したり、得意を伸ばしたり、自分に今必要な勉強がわかりますからメリハリをつけて、効率よく勉強を進めることができます。
メリット2:モチベーションが高まる
具体的な目標が決まると、目標までの道のりを一歩ずつ進んでいくことになるので、自分の成長が実感しやすく、意欲的に勉強に取り組みやすくなります。「成績を上げる」ではなく、「英語の偏差値をあと10上げる」など具体的な数字も出てきますから、合格に向けて頑張りやすくなる、と言えるでしょう。
たとえば、模試に取り組む際にも漠然と受験するのではなく、志望大学ではこの分野が頻出なので、ここの得点率を上げると判定も上がりそう…など、重点的な対策がしやすくなります。
また、「●●大学のキャンパスは東京都内にあって渋谷や新宿にも出やすい」「●●大学では音楽系サークルの活動が活発で有名だからどれかに入りたい」とか。入学後に大学のある街に住み、サークルやバイトなど楽しく忙しく過ごす自分をイメージしやすくなるので、勉強へのモチベーションが保ちやすくなります。
大学の選び方、決め方
志望校や学部を決める時には、何を基準に考えれば良いのでしょうか。きっとその基準は人によっても変わってきます。大学の選び方に絶対の正解はありません。そこで、自分なりに大学受験において「何を一番大事にしたいか」とか「将来について一番考えやすいのはどんなことか」を初めはボンヤリでいいので思い浮かべてみましょう。
志望大学の選び方として、以下にピックアップしてみるので、自分にとって「こう考えると納得できるな」というものがあれば参考にしてみてくださいね。
先輩や先生は何を決め手にしたのか?
友達や先生に聞いてみると、みんなそれぞれの答えをもっています。「何が決め手になったのか」ということを聞いてみると選び方に納得できることもあれば、自分には当てはまらないなと思うこともあります。「なるほど!そういう考え方もあるのか」と基準の1つとして知っておくことはプラスになるでしょう。また、自分の直接の知り合いでなくても、有名人や尊敬する人などの話も参考になるかもしれません。
やりたい仕事につながっているか?
将来やりたい仕事が決まっているのであれば、その仕事につながる学部を選ぶとよいでしょう。たとえば、「医者になりたいから医学部」「弁護士になりたいから法学部」「教師になりたいから教育学部」などです(注)。特定の資格や免許については、どの大学・学部で取得できるか、という情報が資料としてまとまっているので、そうしたものを活用してみてもよいでしょう。
自分の目指す職業や仕事が、学部選びとはつながりにくい、ということもあるかもしれませんね。例えばWebデザイナーは、情報系学部やデザイン系の学部などで学ぶ人が多いですが、一方で、経済学部や商学部で学んだことをビジネスの強みにしたり、心理学部で学んだことをデザインに反映させて使いやすいUXを作ったりできることもあります。職業名だけにとらわれず「仕事で何を実現させたいのか」「自分の興味関心をどう生かすか」という点から考えると、大学で学んだ知見を活かして活躍できます。
※註:教師になるには、教育学部以外にも、国語の先生なら文学部、数学の先生なら工学部や理学部でも中高の教員免許を取得できます。
選択肢が広がっているか?
やりたいことが明確に決まらない場合、「大学進学時には決めない!」というのも実はアリ、です。一般的には「勉強したい学部があるところから選ぶ」というやり方ですが、最近では大学入学後のミスマッチを防ぐために、実際に大学で学んでみてから進む道を決められるようにしている大学もあります。
たとえば北海道大学では、「総合入試 文系/理系」という入試があり、入学後には「総合教育部」に所属します。1年間は教養科目や基礎科目を学び、高度な教育を受けて知識や関心を高めた上で、2年次にそれぞれの学部を選択します。
また金沢大学では「文系/理系 一括入試」があり、「総合教育部」で学ぶことができます。
学びたいことが学べるか?
学びたいことがはっきりしている場合には、それが学べる大学・学部を選びましょう。特定の大学・学部でしか扱っていないテーマや、日本で限られた数しかない研究施設など、専門的に学べるのが大学です。
自分の可能性を狭めてしまわないよう、各学部について「どんなことを学べるか」を調べてみるというアプローチの仕方もよいでしょう。
どんなキャンパスライフを送りたいか?
大学生活4年間もしくは6年間。長く通う大学ですからその環境も大事です。
『都心でおしゃれなキャンパスライフを送りたい』
『地元に進学して、その分アルバイトでお金を貯めたい』
『学生のうちに留学しておきたい』
『サークルでこういう活動をしてみたい』
こうしたこだわりも立派な動機の1つです。社会人になってからはできないような貴重な経験です。ぜひこうした視点からも大学選びを考えてみてくださいね。
大学の偏差値はどのくらいか?
合格の難易度、つまり偏差値で大学・学部を選ぶというやり方もありますが、学部選びの際にはあまりお勧めしません。大学は4年から6年を過ごすところです。学部を決めて進学したら、その分野の授業を必ず受けなければいけません。そうしないと卒業できなくなってしまうからです。まったく興味のない勉強に4年ないしは6年の時間を割かれてしまうのは非常につらいはず。『文学部にしちゃったけど、商学部にしておけば良かった…』と後悔してももう遅いのです。偏差値だけで学部を選ぶのは避けた方が良いでしょう。
同様に、有名大学だから・人気の大学だからという理由で、安易に選ぶこともおすすめしません。同じ学部でも偏差値の高い大学や、有名大学、人気大学を選ぶかどうかについては、慎重になる必要があります。たとえば同じ「経済学部」という名前でも、取得できる資格やカリキュラムが異なることもありますし、そもそも大学が違えばキャンパスのある場所も異なります。学べる内容や立地など、大学の名前や偏差値以外の要素も加味して大学を選びましょう。
志望校が決まると成績が上がる?
次に志望校を決めることと、勉強の関連性について考えてみましょう。「大学・学部選びは早い方がいい」と高校の先生にも言われると思いますが、適当に決めてしまっては全く意味はありません。
大学名や学部名をピックアップするだけでなく、「ここに行きたい」「ここに合格したい」と思える大学・学部を見つけるということなんです。要は気持ちの問題がかなり大きいということです。
目標が明確であればあるほど、やるべきことが明確になります。効率のよい勉強に繋がるので、成果も出やすいというわけです。実際、志望校が決まったことで成績が上がった!という高校生は少なくありません。
気持ちが変わるきっかけは?
四谷学院に通う高校2年生に、「この大学に行きたい」と志望大学・学部が決める直接的なきっかけを質問してみました。すると最も多かった答えは
「オープンキャンパスに行った」
ということです。
学校によっては高校2年生の夏休みの宿題として「オープンキャンパスへの参加」が課されることがあります。これをきっかけとして、「今」と「大学受験」が結び付き、そこで初めて「今何をやるべきか」を真剣に考え、その結果、本格的に勉強したいと思ったわけですね。
受験スイッチに切り替わるきっかけが、オープンキャンパスだということです。
まとめ
なんとなく、この大学に行けたらいいなという気持ちが、「この大学に合格したい!」という強い気持ちに変わると、それは行動にも如実に現れます。それが<受験生>へと気持ちが切り替わるきっかけとなります。
また、せっかく大学合格したならば、進学先を後悔してほしくはありません。
「行ける大学ではなく、行きたい大学へ」
四谷学院はあなたを全力でサポートします。
もしも大学受験で不安なことや迷っていることがあれば、まずは個別相談会へお越しください。受験戦略を一緒に考えていきましょう。