こんにちは!四谷学院 受験コンサルタントチームの伊達です。
「なりたい職業ランキング」でも上位に入ることが多い、獣医師という仕事。
医師と同様に、獣医師免許を取る必要があることまでは知っていても、具体的ななり方を把握していない人もいるでしょう。
獣医師免許を取るには、大学の獣医学科を卒業し、国家試験に合格することが必要です。
ところが、獣医学科を設置している大学は多くありません。
私立大学には、「獣医保健看護学科」や「動物医療学科」といった学科もありますが、獣医師免許の取得はできないため注意しましょう。
医師になるための医学科が全国81校の大学に設置されているのに対し、
獣医学科は17校の大学にしかありません。
医師国家試験は、毎年約1万人が受験し、そのうち9,500人ほどが合格しています。
一方で獣医師国家試験は、毎年1,500人ほどが受験し、1,000人程度の合格者が出ています。
全体の志望者数が大きく違うものの、それだけ限られた獣医師という枠を競い合う必要がある…ということですね。
そこで今回は、「獣医学科」を設置している大学をすべて紹介していきます。
気になった大学は、自分でも調べてみましょう!
地域別のページでは各大学の紹介もしているので、一覧だけでなくぜひ確認してみてくださいね。
目次
【偏差値別】獣医師を目指せる大学を一覧でチェック!
国公立大学
獣医学科を設置している国立大学は10校、公立大学は1校です。
入試の際は、「本籍」を置く大学を選んで出願しましょう。
・北海道大学― 帯広畜産大学
・岩手大学 ― 東京農工大学
・岐阜大学 ― 鳥取大学
・山口大学 ― 鹿児島大学
前期日程
偏差値 | 大学 | 学部(学科) |
72 | 東京大学 | 理科Ⅱ類 |
71 | 北海道大学 | 獣医(共同獣医学) |
65 | 帯広畜産大学 東京農工大学 山口大学 鹿児島大学 | 畜産(共同獣医学) 農(共同獣医) 共同獣医(共同獣医) 共同獣医(共同獣医a・b) |
64 | 岐阜大学 宮崎大学 大阪公立大学 | 応用生物科(共同獣医) 農(獣医) 獣医(獣医) |
63 | 鳥取大学 | 農(共同獣医) |
62 | 岩手大学 | 獣医(共同獣医) |
62~61 | 北海道大学 | 総合入試理系 |
後期日程
偏差値 | 大学 | 学部(学科) |
72 | 北海道大学 | 獣医(共同獣医学) |
67 | 東京農工大学 山口大学 鹿児島大学 | 農(共同獣医) 共同獣医(共同獣医) 共同獣医(共同獣医) |
66 | 帯広畜産大学 宮崎大学 | 畜産(共同獣医学) 農(獣医) |
私立大学
獣医学科を設置している私立大学は、全部で6校です。
一般入試
偏差値 | 大学 | 学部(学科) |
65 | 日本獣医生命科学大学 | 獣医(獣医) |
65~64 | 日本大学 | 生物資源科(獣医) |
64 | 酪農学園大学 麻布大学 北里大学 | 獣医学群(獣医学類) 獣医(獣医) 獣医(獣医) |
61~60 | 岡山理科大学 | 獣医(獣医) |
共通テスト利用入試
偏差値 | 大学 | 学部(学科) |
65 | 麻布大学 | 獣医(獣医) |
65~64 | 日本獣医生命科学大学 | 獣医(獣医) |
64 | 北里大学 | 獣医(獣医) |
64~60 | 酪農学園大学 | 獣医学群(獣医学類) |
62~61 | 岡山理科大学 | 獣医(獣医) |
【地域別】獣医学科が設置されている大学をチェック!
北海道地方
【国立】北海道大学(北海道)
後期:獣医学部 共同獣医学科(目標偏差値:72)
前期:総合入試理系 物理・化学・総合(目標偏差値:62) 生物(目標偏差値:61) 数学(目標偏差値:60)
⇒獣医学部 共同獣医学科
後期:総合入試理系 なし
旧帝大学の1つである北海道大学には、獣医学部 共同獣医学科があります。
東京大学に次ぐ偏差値や難易度の高さであり、獣医師を目指す多くの人にとって憧れの大学だと言えるでしょう。
「共同」とあるように、2012年からは同じ道内の帯広畜産大学との共同課程になっており、教員100名規模の大スケールで獣医学教育を行っています。
それぞれのキャンパスを行き来したり、遠隔授業を受けたりと、一緒に高め合える仲間が多いことは、大学生活においてプラスになるでしょう。
過去6回の国家試験合格状況を見ても、合格率90%以上が3度あり、優秀であることがわかります。
ここもPoint!
北海道大学では、文系・理系ともに「総合入試」を実施しており、出願や入学の際には学部を決めずに受験することができます。
1年間を総合教育部で学び、自身の希望と「移行点」と呼ばれる成績を基に、2年次から学部へと分かれていく形です。
総合理系の1学年が約1,000人なのに対し、定員が5名と狭き門にはなりますが、獣医学部へ移行することも可能です。
優秀な同志と枠を争うことになるため、なかなか難しい挑戦にはなりますが、可能性として考えておくのは悪くないでしょう。
ちなみに、医学部医学科の定員は10名となっています。
【国立】帯広畜産大学(北海道)
後期:畜産学部 共同獣医学科(目標偏差値:66)
国公立大学で唯一となる、畜産を専門とする帯広畜産大学。
畜産学部に共同獣医学科を設置しています。
専門性が非常高いことから、道内に限らず全国の受験生から人気を集めています。
「共同」とあるように、2012年からは同じ道内の帯広畜産大学との共同課程になっており、教員100名規模の大スケールで獣医学教育を行っています。
それぞれのキャンパスを行き来したり、遠隔授業を受けたりと、一緒に高め合える仲間が多いことは、大学生活においてプラスになるでしょう。
過去6回の国家試験合格状況を見ると、合格率80%前後のことが多く、受験者40名全員が合格している回もあります。
【私立】酪農学園大学(北海道)
共テ:獣医学群 獣医学類 3教科型(目標偏差値:64) 5教科型(目標偏差値:63) 併用型(目標偏差値:60)
私立大学としては最も広大なキャンパスを持つ酪農学園大学。
北海道江別市に獣医学類のキャンパスを置いています。
敷地内に多数の産業動物を飼育しており、実習などを通じて獣医師に必要な技術やスキルを身につけていきます。
ほかの地域からは目指しづらいようにも感じられる北海道ですが、倍率は一般入試で3~4倍、共通テスト利用では20倍ほどと、人気の高い大学です。
過去6回の国家試験では、80~90%の合格率で推移しています。
東北地方
【国立】岩手大学(岩手県)
後期:なし
私立大学も含め、東北地方で唯一となる獣医学科を設置している岩手大学。
獣医学部 共同獣医学科が対象となります。
「共同」とあるように、2012年から東京農工大学と連携しています。
これにより専門性を高めることができ、「基礎」「病態」「応用」「伴侶動物」「産業動物臨床獣医学」の5分野体制で教育を行っています。
「動物病院」と「動物医学食品安全教育研究センター」が設置されており、農工大の教育にも活用されています。
過去6回の国家試験のうち、4回は90%以上の合格率をマークしています。
入試での目標偏差値は国公立大学では一番低く出ているものの、共通テストでは8割近くの得点率が求められるため、確かな学力を身につける必要があるでしょう。
【私立】北里大学(青森県)
共テ:獣医学部 獣医学科 3教科型・5教科型(いずれも目標偏差値:64)
北里柴三郎を学祖とする北里大学。
獣医学部 獣医学科を設置しています。
キャンパスは1年次のみ神奈川県の相模原キャンパス。
2年次からは青森県十和田市のキャンパスに移ります。
獣医学部だけが使用することもあり、実習を行う環境や施設として申し分ありませんが、「実家から通える範囲で…」が叶わない可能性が高いでしょう。
過去6回の国家試験合格状況からは、合格率が90%前後であることが読み取れます。
関東地方
【国立】東京大学(東京都)
⇒農学部 獣医学専修
後期:なし
言わずと知れた最難関大学である東京大学。
農学部の中に「獣医学課程 獣医学専修」があり、獣医師を目指すことが可能です。
学習環境はもちろんのこと、何よりもレベルと意識の高い仲間たちと一緒に学ぶことができるのは、東京大学の特権でしょう。
まだ獣医師に絞ったわけではない…という人も、進学してから自分の道を決めることができますよ。
過去6回の国家試験合格状況を見ると、90%以上の合格率が多いものの、5~6割ほどの回もあるため、専門的な勉強を積むことの重要性がよくわかります。
ここもPoint!
東京大学では、学部ごとの入試は行わず、文系理系それぞれⅠ~Ⅲ類に分けて募集しています。
全員が教養学部に所属し、1・2年次の成績を基に、3年生から各学部へ進学選択(進振り)を行う形です。
注意が必要なのは、各学類から進学する枠が学部によって決まっているという点です。
2025年度の獣医学専修の定員を見てみると、理科Ⅱ類から19名、すべての科類から3名となっています。
獣医師を志すのであれば、理科Ⅱ類を選択すべきだということがわかりますね。
東大受験を視野に入れている受験生であれば出願先を間違えることはないでしょうが、この枠(進学定数)も必ず確認しておきましょう。
【国立】東京農工大学(東京都)
後期:農学部 共同獣医学科(目標偏差値:67)
農学部と工学部のみを設置している東京農工大学。
農学部のなかに共同獣医学科があります。
「共同」とあるように、2012年から岩手大学と連携している学科です。
これによって専門性を高めることができ、家畜衛生や公衆衛生分野における獣医師養成と、高度獣医療技術の習得につながっています。
「動物医療センター」と「感染症未来疫学研究センター」が設置されており、岩手大の教育にも活用されています。
過去6回の国家試験合格状況では、合格率90%以上のことも多く、受験者42名全員が合格している回もあります。
【私立】日本獣医生命科学大学(東京都)
共テ:獣医学部 獣医学科 3教科型・4教科型(いずれも目標偏差値:65) 併用型(目標偏差値:64)
唯一大学名にも「獣医」が入っており、私立の獣医学科では目標偏差値が1番高い日本獣医生命科学大学。
日獣とも呼ばれるこの大学は、獣医学部 獣医学科を設置しています。
キャンパスは東京都武蔵野市にあります。
国内トップクラスの動物医療センターや、山梨県の富士アニマルファームなど、施設面も充実していると言えるでしょう。
過去6回の国家試験合格状況を見ると、90%台後半の合格率となっていることが多いです。
【私立】麻布大学(神奈川県)
共テ:なし
獣医学科のある私立大学のなかでも、高い人気を誇る麻布大学。
獣医学部 獣医学科を設置しています。
キャンパスは神奈川県の相模原市にあり、都心からのアクセスも悪くありません。
「基礎」「病態」「環境」「生産」「臨床」と5つの獣医学系から学び、科学的知識と技術を兼ね備えた獣医師の育成を目指します。
過去6回の国家試験では、合格率が80~90%ほどで推移しています。
【私立】日本大学(神奈川県)
共テ:なし
日本大学には生物資源科学部に獣医学科があります。
110年以上の歴史があり、付属の動物病院など施設も充実しています。
獣医学科のキャンパスは神奈川県の藤沢市にあります。
iPS 細胞を使った動物の再生医療や人獣共通感染症など、最先端の研究を進めることが可能です。
過去6回の国家試験では、毎年90%前後が合格しています。
甲信越地方
なし
北陸地方
なし
東海地方
【国立】岐阜大学(岐阜県)
後期:なし
東海地方で唯一、獣医師を目指すことができる岐阜大学。
応用生命科学部に共同獣医学科があります。
「共同」とあるように、2009年から鳥取大学と連携している学科です。
同じカリキュラムで学習を進めており、一部の専門科目は遠隔講義システムで同時に受講することもできます。
中部地方で唯一となる大学附属の動物病院を設置するなど施設も充実しており、これらは鳥取大の学生も利用することが可能です。
過去6回の国家試験では、合格率が非常に高い年が多く、2回連続で受験者全員が合格することもありました。
近畿地方
【公立】大阪公立大学(大阪府)
後期:なし
公立大学で唯一となる獣医学科を設置している大阪公立大学。
獣医学部 獣医学科は非常に人気です。
大阪という立地から、「伴侶動物の数が多い」「感染症の防疫・食の安全担保に取り組む」など、 特徴ある都市型獣医学教育を展開しています。
関西空港に近い「りんくうキャンパス」であることを活かし、空港の検疫所でも職場体験を行うことができるのも特徴の1つでしょう。
過去6回の国家試験合格状況では、合格率80~90%を推移することが多くなっています。
中国地方
【国立】鳥取大学(鳥取県)
後期:なし
鳥取大学は農学部 共同獣医学科を置いています。
「共同」とあるように、2009年から岐阜大学と連携している学科です。
同じカリキュラムで学習を進めており、一部の専門科目は遠隔講義システムで同時に受講することもできます。
農学部附属の動物医療センターなどがあり、両大学の施設は岐阜大の学生も利用することが可能です。
過去6回の国家試験では、毎回90%以上の合格率をキープしています。
【国立】山口大学(山口県)
後期:なし
山口大学には共同獣医学部 共同獣医学科があります。
「共同」とあるように、2012年から鹿児島大学と連携している学科です。
遠隔授業システムを活用し、特に2年次から始まる専門教育課程は、完全に同一のカリキュラムを実施しています。
実習では、「高度感染症実習」を開講しており、鹿児島大の学生も参加します。
過去6回の国家試験では、80~90%ほどの合格率を推移しており、30人全員が合格する回もありました。
四国地方
【私立】岡山理科大学(愛媛県)
共テ:獣医学部 獣医学科 5教科型(目標偏差値:62) 3教科型(目標偏差値:61)
岡山理科大学には、獣医学部 獣医学科があります。
岡山キャンパスではなく、獣医学部は愛媛県の今治市で学ぶことになります。
大学名からは想像ができないでしょうから、必ず把握しておかなければいけません。
2018年に設置された、非常に新しい学部です。
動物だけでなくヒトの健康にも貢献する、「医獣連携」を推進しています。
獣医師としての技術や知識を教えるだけでなく、医療や科学の幅広い教養を身につけられることでしょう。
1期生が受験した、第75回国家試験の合格率は67.5%でした。
これから多くの合格者を輩出することが期待されています。
九州・沖縄地方
【国立】宮崎大学(宮崎県)
後期:農学部 獣医学科(目標偏差値:66)
宮崎大学には農学部 共同獣医学科があります。
畜産県として知られる宮崎という立地を活かし、専門科目ごとに設置されている15研究室と附属動物病院が、他学科と協力しながら、獣医学を実践しています。
また、大阪公立大学・東京大学と、獣医学教育の連携協定を締結し、質の高い教育を提供しています。
過去6回の国家試験を見ると、合格率70%を下回る回もありましたが、ほとんどの回では90%程度です。
【国立】鹿児島大学(鹿児島県)
後期:共同獣医学部 共同獣医学科(目標偏差値:67)
鹿児島大学は共同獣医学部 共同獣医学科を置いています。
「共同」とあるように、2012年から山口大学と連携している学科です。
遠隔授業システムを活用し、特に2年次から始まる専門教育課程は、完全に同一のカリキュラムを実施しています。
実習では、「産業動物診断治療学実習」を開講しており、山口大の学生も参加します。
過去6回の国家試験は、90%前後の合格率であることが多いです。
まとめ
今回は獣医師を目指すことができる大学について確認しました。
国立大学が10校、公立大学が1校、私立大学が6校の、全17校と非常に少ないことがわかります。
国公立大学では、東京大学・大阪公立大学・宮崎大学以外は、すべて「共同獣医学科」として、お互いの施設や授業を共有しています。
上記の3校も「獣医学教育連携協定」を結んでいることから、協力し合うことが不可欠である、特殊な学問とも言えるでしょうか。
私立大学は6校のみ、かつ6年間の学費が1,300~1,500万円ほどになってしまうため、獣医師を志す人は国公立大学を目指す傾向があります。
(国公立大学は6年間で約350万円)
入学定員は国公立大学が300名弱、私立大学が約400名と、毎年800名ほど。
国家試験を受ける新卒者を見ても、1,000名程度しかいません。
狭き門である獣医師という仕事に、まずは挑戦する権利を得るために、志望校合格を必ず勝ち取りましょう。
「ちゃんと行きたい大学に合格できるのかな」「国公立を目指したいけど負担が大きくて…」と、不安を感じているあなた。
四谷学院では、志望校に合わせた最適な学習スケジュールや、今やるべきことを示してくれる受験コンサルタントがいます。
ひとりで悩まずに、一度相談してみませんか?
全国の校舎でお待ちしています!