こんにちは!四谷学院 受験コンサルタントチームの伊達です。
近年、「学び直し」や「再受験」という言葉をよく聞くようになりました。
四谷学院にも大学を卒業したばかりの方や、40代・50代から大学受験を目指したいという方が多く来校しています。
何かしらの事情で大学に進学することができなかった、進路を決めた後にやりたいことが変わった、子育てがひと段落ついた…そこには様々な理由があるでしょう。
学び始めるのに、遅すぎるということはありません。
学問というのは、そもそも貴族の遊びから発展したもの。
興味関心が湧いた分野について学ぶのは、新しい趣味を見つけて没頭するのと大きく変わらないのです。
しかし、受験勉強からしばらく遠ざかっている方や、そもそも受験の経験がないという方は、「今になって現役の受験生たちと争うのも難しいよな…」と不安になってしまいますよね。
その心配を払拭できるかもしれない制度が、「社会人入試」です。
今回は、その社会人入試が実際どのような試験内容なのか、いくつかの大学を例に確認していきます。
改めて大学受験をしてみたいけれど、一歩が踏み出せない…という場合は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
早稲田大学
(以下は2025年度入試データ)
実施学部・試験日程・募集人員
政治経済学部(若干名)
学部1年次への入学
出願期間:7/12(金)~19(金)
論文審査:9/1(日)
面接通知(1次試験合格発表):9/12(木)
面接審査:9/22(日)
合格発表:9/26(木)
出願資格
①2025年4月1日時点で、満28歳以上
②通算3年以上の職務経験(家事専従を含む)
③高等学校卒業など、大学入学資格を有する
※詳細は各大学の募集要項を確認してください
特別に必要なもの
志願者の社会人としての活動歴や特色などを記載した、推薦状が2通必要です。
家族や友人、勤務先の同僚や上司、出身校の恩師など、異なる背景の知人2名から1通ずつ記入してもらう必要があります。
試験内容
英語能力審査
TOEFL(iBT)・IELTS(Academic)のスコアを出願時に提出
(試験実施機関からの直送)
※出願基準や合格基準は設定せず
論文審査
日本語の長文資料を読解し分析したうえで、自分の考えを表現する論述形式の試験(120分)
【参考】問1.200字以内の論述、問2.100字以内の論述、問3.選択問題、問4.150字以内の論述、問5.100字以内の論述
面接審査
10~15分程度の面接試験
これだけは知っておきたい
早稲田大学では、最難関学部として知られる政治経済学部のみ社会人入試を実施しています。
2024年度入試まではスポーツ科学部の自己推薦入試を行っていましたが、停止となりました。
出願前にここをチェック
出願の際に重要なのは2点です。
1点目は英語能力審査。
TOEFL(iBT)・IELTS(Academic)のスコアを提出します。
何点以上でなければ出願できない…といった基準はありませんが、「グローバル(社会人)入学試験」と銘打たれているように、実務の中で英語を使っていた、そしてそれを証明するスコアを提示することができれば、良いアピールにはなるでしょう。
2点目は推薦状。
あなたの社会人としての活動を推薦してもらう必要があることを考えると、直接仕事ぶりを目にしていた上司や同僚には依頼できるようにしたいところです。
退職しても応援してくれる関係性を築けていた…という証明にもなりますからね。
異なる背景の知人2名というのもポイントです。
家族だけ、友人だけにはならないよう、準備の段階で考えておきましょう。
試験対策はどうすれば良い?
論文審査は、1万字ほどの資料や質問文を正確に読み取る必要があります。
政治や経済に関連する話題のため、この学部を志す受験者であれば関心を持てる文章ではありますが、普段から活字を一定時間読む訓練をしていないと難しいでしょう。
過去の問題はホームページから確認ができるため、文章量だけでもチェックしておくと良いですね。
また、論述も100~200字での説明を求められるため、くり返し対策をしておかなければいけません。
自身の考えをただ書かせる設問ではなく、本文の論旨に即して答える必要があるため、知識で答えられる部分は少ないでしょう。
個別指導などで、小論文の書き方や、現代文の読解力を習得することが不可欠です。
面接審査は、あなたのこれまでの社会人としての活動や、入学後に何を学んでいきたいのかを詳しく説明できるようにしておきましょう。
現役で進学する高校生や浪人生以上に、今の仕事や立場を捨ててでも学びたいことがある、という点は求められるはずです。
近畿大学
(以下は2025年度入試データ)
実施学部・試験日程・募集人員
法学部(若干名)
学部1年次への入学
【10月実施】
出願期間:9/12(木)~19(木)
試験日時:10/12(土)
合格発表:11/7(木)
【1・2月実施】
出願期間:12/25(水)~翌1/6(月)
試験日時:2/1(土)
合格発表:2/22(土)
出願資格
①入学時点で、満23歳以上
②企業や官公庁等で正規および非正規の職員として勤務経験がある者(アルバイトを除く)
③高等学校卒業など、大学入学資格を有する
※詳細は各大学の募集要項を確認してください
特別に必要なもの
出願時に、800~1,000字程度の志望理由書を提出します。
準備する時間はありますから、個別指導等で対策するのが良いでしょう。
また、最終出身学校の成績証明書も必要です。
この成績も選考内容に含まれており、合否判定に関わってきます。
試験内容
小論文
過去問 非公表(60分)
口頭試問
専門科目に関する口頭試問を含む
これだけは知っておきたい
近畿大学では、法学部と経営学部で社会人入試を実施しています。
法学部では、デイタイム履修(1~5時限)となり、1年次への入学と3年次への編入学が可能です。
経営学部はイブニング履修(平日は3~6時限)の1年次への入学のみとなります。
出願前にここをチェック
出願の際に重要なのは3点です。
1点目は志望理由書。
出願時に提出が必要です。
今後何を学んでいきたいのか、あなたが社会人生活で何を経験してきたのか、アピールすべき点をしっかりまとめて記入しましょう。
2点目は小論文。
大学が過去問を公表していませんが、与えられたテーマに対して、自身の考えを述べる形式が一般的です。
時間は60分と短め。800~1,000字前後になるでしょうが、素早く論文の構成を考える練習はしておくべきでしょう。
3点目は口頭試問。
一般的な面接試験とはやや異なり、時事問題や一般教養を尋ねられることもあります。
学部の履修内容に関する知識を問われることもあるため、事前に学習を始めておいて損はないでしょう。
試験対策はどうすれば良い?
小論文は、自分ひとりでの対策が難しい分野です。
100人いれば100通りの答えがあり、「模範解答通りに書けたから正解!」と判断できるようなことはまずありません。
客観的な視点で、どういった要素が抜け落ちているのか、どのような表現がベターなのかを、先生に指導してもらうことが重要です。
また、文章力に自信がある人も、本番になると焦ってうまく内容をまとめられなかった…ということがよくあります。
個別指導を活用し、時間内に表現する練習を重ね、内容の添削を受けるようにしましょう。
口頭試問は、いかに経験を積むかが重要です。
社会人として、得意先や顧客にプレゼンをする機会が多かった人であれば、落ち着いてアピールできるかもしれませんね。
そうでない場合や、まだ学部の専門知識に自信がないようであれば、対策時間はしっかり確保しておくべきでしょう。
社会人入試のよくある疑問
高卒でも大学院に行ける可能性があるって本当?
一般的には高校⇒大学⇒大学院へと進学する人が多いため、意外に思うかもしれませんが、
高卒から大学院に進学することも可能です。
とはいえ、外国の学校を卒業しているなど、大学卒業者と同等の学力を有していると考えられる人に限ります。
各大学院が出願資格の事前審査を行っているため、特別な経歴や職歴の場合は、問い合わせてみても良いでしょう。
通信教育課程であればだれでも大学に入れるって本当?
大学にも通信制という選択肢があります。
入試は学力試験ではなく、基本的には書類審査のみのため、多くの大学では出願書類等に不備がなければ合格となるでしょう。
ただし、慶應義塾大学や早稲田大学では、公表はしていないものの1~2割ほどは不合格者が出ている…という話もあります。
また、大学の通信教育課程においては、卒業するのが難しいとよく言われます。
通学課程では出席点が加点される講義も多いですが、通信課程はレポートや課題、試験といった実力勝負になります。
もちろん大学に入学する意味を考えると、深く学び専門的な知識を身につける努力をするのは当たり前ではありますが、映像と自主学習だけで求められるレベルに到達するのは容易ではないでしょう。
大学に入学しても、卒業しなければ最終学歴にはなりません。
生活の中に組み込んでも問題なくまわせるのか、それだけ学びたいという意欲や覚悟があるのかは、出願前によく考えておきましょう。
アスリートのセカンドキャリアとして人気があるって本当?
スポーツや体育系の学部で、社会人入試を実施する大学も多いです。
たとえば、立教大学のスポーツウエルネス学部では、プロクラブや実業団に3年以上在籍していた経験のある選手を対象とした社会人入試を実施しています。
中京大学のスポーツ科学部でも、競技実績を選考の評価対象にすると明記されています。
一方、早稲田大学のスポーツ科学部では、同様の社会人入試を2025年度より廃止することとなりました。
スポーツを科学的に分析し指導者の道へ進む人や、経営や運営について学びスポーツマネジメントに携わる人など、セカンドキャリアを踏み出す準備として、社会人入試が活用されています。
まとめ「社会人入試で求められる能力とは?」
今回は、社会人入試について、実際に2つの大学が行っている入試内容を基に確認しました。
社会人入試で求められるのは、まず「なぜその大学や学部で学びたいのか」という点でしょう。
一般的な大学受験と変わらないようにも思いますが、それ以上に社会経験を積んでいるからこそ、具体的なビジョンが求められます。
面接や口頭試問の練習も欠かさないようにしましょう。
また、小論文などの表現力も磨く必要があります。
大学進学後はレポートや論文等を提出する機会は多いため、ここでしっかり対策しておけば間違いなく役に立つでしょう。
小論文も面接対策も、自分ひとりではできません。
四谷学院が社会人入試を検討する人によく選ばれる理由は、その対策がどちらもできる点にあるのでしょう。
どの大学が良いのか、今から大学を目指しても良いものなのか、様々な悩みを抱えている人がいます。
四谷学院の個別相談会では、そのような悩みもすべて相談できますよ。
ひとりで抱え込まずに、一度相談してみませんか?
全国の校舎でお待ちしています!