【2025年度入試完全版】国公立大学・私立大学 医学部 地域枠一覧【近畿地方】

大学入試における最難関とも言われる医学部受験。

全国で国公立大学50校、私立大学31校が医学部を置いていますが、いずれの大学も入ることは簡単ではありません。
しかし、それほど困難な医学部受験に合格する可能性を、少しでも高められる方法があるのを知っているでしょうか。
それが「地域枠入試」です。

2024年7月、慶應義塾大学の医学部が、2026年度入試から同大学初の「地域枠」である「栃木県枠」を設置する…と話題になりました。
私立医学部においてトップクラスの人気を誇る慶應に設置されたことから、今後さらにこの制度が広がっていく可能性もあるでしょう。

本記事では、地域枠入試の仕組みと近畿地方の医学部における地域枠設置状況をまとめています。
各地域の一覧も更新中のため、そちらも参考にして志望校を絞っていきましょう！

医学部の地域枠入試って何？

地域枠の仕組み

地域枠入試とは、「出身地」や「卒業後の勤務地」などに条件を設ける入学試験のことです。
その県や指定された地域からの入学者を集め、その地方で活躍する医師を養成することを目的としています。

そのため、「だれでも受けられる一般枠とは別に入学定員を設置している」ことが多く、うまく活用すればチャンスを増やすことができるかもしれません。
また、ライバルも限定されるため、合格のために必要な学力やレベルは、一般枠よりもわずかながら低くなる可能性があるでしょう。

地域枠の設置理由

医学部に関心を持っている人であれば、「医師不足」という言葉を一度は聞いたことがありますよね。
理由としては、世界各国と比べて日本は総人口に対して医師の絶対数が少ない国という点も挙げられます。
ただ、より大きな原因は、地域ごとの医師の数にばらつきがあるという点でしょう。

医師以外の職業でも、就職先を探す際に「勤務地」を大事な条件のひとつに挙げる人は多いですよね。
当然医師も、働く地域や居住地を考慮して働く病院を決めていきます。

病院の数や採用人数は都道府県や市によって異なりますし、そもそも病院自体が不足している地域もあります。
または、開業医となる人もいるでしょう。途中で病院を辞めてしまう人もいるはずです。

都道府県の人口を単純比較しても、東京都と地方の県では何倍もの差があります。
国民全員に医療を行き届かせようと思っても、それが実現できない地域もあるというのは、想像できますよね。

それを解消するのが「地域枠入試」なのです。
特定の地域で活躍してくれる未来の医師を養成し、地域貢献することがこの制度の最大の役割と言えるでしょう。

受験生にとっての「地域枠のメリット・デメリット」

【メリット】

地域枠のメリットは、前述した通りチャンスが増える点でしょう。
一般枠と併願できる大学も多く、チャレンジしてマイナスになることはまずありません。

また、なかには二次試験(個別学力検査)の受験が必要なく、共通テストの成績＋評定や出願書類のみで選考を行う大学もあります。
共通テストの目標得点にのみ集中して学習することができるため、勉強を進めやすくなるとも考えられるでしょう。

また、主に私立大学では奨学金や修学金があり、金銭的な負担を減らすことができる大学もあります。

【デメリット】

設置された意図を考えると当たり前のことではありますが、受験生にとっては「卒業後の進路選択の範囲が狭まる」という点がデメリットになるかもしれません。

特定の年数は指定された地域で働くことが必須条件であり、20代中盤～30代前半の時期を指定された場所で過ごすことになります。
生まれ育った故郷に恩返しをしたい、地域医療に貢献したい…といった強い理由を持っていなければ、後悔してしまうかもしれません。
制度や条件をしっかり確認したうえで、志望校を決めていきましょう。

国公立大学(近畿地方)

近畿地方の国公立大学は、各府県に1校だけでなく、京都府と大阪府には国立と公立の大学がそれぞれ2校ずつあります。

特徴は、医科単科大学が全体の半数の4校と、非常に多い点です。
医科単科大学は基本的に二次試験の難易度が高く、平均点が低くなります。
医療用語や応用力をしっかりとおさえ、合格をつかみとりましょう。

全国のデータを見ると、比較的医師不足が深刻ではない地域ですが、京大と阪大以外は地域枠を設定しています。

滋賀医科大学(滋賀県)

「地域枠」設置アリ(一般選抜・学校推薦型選抜)

出願条件(一部抜粋)

注意が必要な特筆すべき条件のみまとめています。
ほかにも細かい条件があるため、必ず各大学の入試要項等で詳細を確認しましょう！

【一般選抜　地域医療枠】

・出身地などの制限ナシ
・入学後は「滋賀県医師養成奨学金」の貸与を受ける
・医師免許取得後9年間、滋賀県内の医療機関等に在籍し、臨床研修および診療業務に従事する
・9年間の従事義務期間のうち、6年目以降の4年間は滋賀県知事が指定する県内の医療機関等で勤務する(原則、医師の不足する地域)

【学校推薦型選抜　地元医療枠】

・滋賀県内の高校を卒業(見込み)した1浪まで
・滋賀県外の高校を卒業(見込み)した1浪までで、本人または保護者等が滋賀県内に1年前から住所を有している
※上記条件のいずれかに該当していればOK
・合格後は入学を確約できる
・高校の調査書の成績が、全体の学習成績概評でA段階に属する(評定平均値が4.3以上)
・入学後は「滋賀県医師養成奨学金」の貸与を受ける
・医師免許取得後9年間、滋賀県内の医療機関等に在籍し、臨床研修および診療業務に従事する
・9年間の従事義務期間のうち、6年目以降の4年間は滋賀県知事が指定する県内の医療機関等で勤務する(原則、医師の不足する地域)

京都大学(京都府)

「地域枠」設置ナシ

京都府立医科大学(京都府)

「地域枠」設置アリ(学校推薦型選抜)

出願条件(一部抜粋)

注意が必要な特筆すべき条件のみまとめています。
ほかにも細かい条件があるため、必ず各大学の入試要項等で詳細を確認しましょう！

【学校推薦型選抜】

・京都府内の高校を卒業(見込み)した4浪まで
・京都府外の高校を卒業(見込み)した4浪までで、高校卒業前1年以上引き続き京都府内に住所を有する
・京都府外の高校を卒業(見込み)した4浪までで、保護者が1年前から京都府内に住所を有する
※上記条件のいずれかに該当していればOK
・合格後は入学を確約できる
・高校の調査書の成績が、全体の学習成績概評でA段階に属する(評定平均値が4.3以上)
・入学後は「京都府地域医療確保奨学金」の貸与を受ける
・卒業後、京都府が指定する医療機関で9年間従事する

大阪大学(大阪府)

「地域枠」設置ナシ

大阪公立大学(大阪府)

「地域枠」設置アリ(一般選抜・学校推薦型選抜)

出願条件(一部抜粋)

注意が必要な特筆すべき条件のみまとめています。
ほかにも細かい条件があるため、必ず各大学の入試要項等で詳細を確認しましょう！

【一般選抜　大阪府指定医療枠】

・出身地などの制限ナシ
・入学後は「大阪府地域医療確保修学資金」の貸与を受ける
・卒業後、1年6ヶ月以内に医師免許を取得する
・医師免許取得後9年間(臨床研修期間を含む)、大阪府内の医療機関等に勤務する
・9年間の従事義務期間のうち、4年間以上は大阪府が定める医師不足地域の医療機関に勤務する
・9年間の従事義務期間のうち、5年間以上は大阪府が指定する診療業務に従事する

【学校推薦型選抜】

・大阪府内の高校を卒業(見込み)した現役生
・大阪府外の高校を卒業(見込み)した現役生で、本人または保護者が3年以上大阪府内に住所を有する
※上記条件のいずれかに該当していればOK
・卒業後、2年間の初期臨床研修を行ったのち、大阪公立大学医学部に一定期間所属する

神戸大学(兵庫県)

「地域枠」設置アリ(学校推薦型選抜)

出願条件(一部抜粋)

注意が必要な特筆すべき条件のみまとめています。
ほかにも細かい条件があるため、必ず各大学の入試要項等で詳細を確認しましょう！

【学校推薦型選抜　地域特別枠】

・兵庫県内の高校を卒業(見込み)した1浪まで
・兵庫県外の高校を卒業(見込み)した1浪までで、本人または保護者が3年以上兵庫県内に住所を有する
※上記条件のいずれかに該当していればOK
・合格後は入学を確約できる
・高校の調査書の成績が、全体の学習成績概評でA段階に属する(評定平均値が4.3以上)
・入学後は「兵庫県地域医療支援医師修学資金」の貸与を受ける
・医師免許取得後9年間(臨床研修2年・後期研修2年を含む)、兵庫県が指定するへき地の公立病院等に勤務する

奈良県立医科大学(奈良県)

「地域枠」設置アリ(学校推薦型選抜)

出願条件(一部抜粋)

注意が必要な特筆すべき条件のみまとめています。
ほかにも細かい条件があるため、必ず各大学の入試要項等で詳細を確認しましょう！

【学校推薦型選抜　緊急医師確保】

・高校を卒業(見込み)した2浪まで
・合格後は入学を確約できる
・入学後は「奈良県緊急医師確保修学資金」の貸与を受ける
・大学を卒業後、2年以内に医師免許を取得する
・医師免許取得後は、知事が指定する病院において9年間(臨床研修期間を含む)従事する

【学校推薦型選抜　地域枠】

・奈良県内の高校を卒業(見込み)した2浪まで
・奈良県外の高校を卒業(見込み)した2浪までで、本人または保護者が1年以上奈良県内に住所を有する
※上記条件のいずれかに該当していればOK
・合格後は入学を確約できる

和歌山県立医科大学(和歌山県)

「地域枠」設置アリ(一般選抜・学校推薦型選抜)

出願条件(一部抜粋)

注意が必要な特筆すべき条件のみまとめています。
ほかにも細かい条件があるため、必ず各大学の入試要項等で詳細を確認しましょう！

【一般選抜　県民医療枠A】

・出身地などの制限ナシ
・医師免許取得後9年間(初期臨床研修2年を含む)、大学および和歌山県が指定する公的医療機関等に勤務する

【一般選抜　県民医療枠C】

・出身地などの制限ナシ
・入学後は「和歌山県特定診療科医師確保修学資金」の貸与を受ける
・大学を卒業後、2年以内に医師免許を取得する
・医師免許取得後9年間、和歌山県が指定する県内の公的医療機関等に勤務する
・9年間の従事義務期間のうち、最低5年間は地域派遣対象医療機関において「産科」「小児科」「精神科」から選択した診療科の業務に従事する

【学校推薦型選抜　一般枠】

・和歌山県内の高校を卒業(見込み)した1浪まで
・和歌山県外の高校を卒業(見込み)した1浪までで、保護者が3年以上和歌山県内に居住している
※上記条件のいずれかに該当していればOK
・合格後は入学を確約できる
・高校の調査書の成績が、全体の学習成績概評でA段階に属する(評定平均値が4.3以上)

【学校推薦型選抜　県民医療枠A】

・出身地などの制限ナシ
・高校を卒業(見込み)した1浪まで
・合格後は入学を確約できる
・高校の調査書の成績が、全体の学習成績概評でA段階に属する(評定平均値が4.3以上)
・医師免許取得後9年間(初期臨床研修2年を含む)、大学および和歌山県が指定する公的医療機関等に勤務する

【学校推薦型選抜　県民医療枠B】

・出身地などの制限ナシ
・合格後は入学を確約できる
・高校の調査書の成績が、全体の学習成績概評でA段階に属する(評定平均値が4.3以上)
・入学後は「和歌山県特定診療科医師確保修学資金」の貸与を受ける
・大学を卒業後、2年以内に医師免許を取得する
・医師免許取得後9年間、和歌山県が指定する県内の公的医療機関等に勤務する
・9年間の従事義務期間のうち、最低5年間は地域派遣対象医療機関において「産科」の業務に従事する

【学校推薦型選抜　地域医療枠】

・和歌山県内の高校を卒業(見込み)した1浪まで
・和歌山県外の高校を卒業(見込み)した1浪までで、保護者が3年以上和歌山県内に居住している
※上記条件のいずれかに該当していればOK
・合格後は入学を確約できる
・高校の調査書の成績が、全体の学習成績概評でA段階に属する(評定平均値が4.3以上)
・入学後は「和歌山県特定診療科医師確保修学資金」の貸与を受ける
・医師免許取得後9年間、和歌山県が指定する県内の公的医療機関等に勤務する
・9年間の従事義務期間のうち、最低5年間はへき地医療拠点病院等において、へき地を含む地域医療に従事する

私立大学(近畿地方)

近畿地方の私立大学医学部は、大阪府に3校、兵庫県に1校の合計4校です。

それぞれの大学で地域枠を設定していますが、大阪府の都心は医師も比較的多いため、大阪のなかでもへき地医療に重点を置いていることがわかります。

兵庫医科大学の学校推薦型選抜では、私立大には珍しく卒業後の義務年限がありません。
その分修学資金の貸与もないため、学費負担を考慮して出願する必要はありますが、募集条件をクリアできる場合は挑戦してみても良いでしょう。

大阪医科薬科大学(大阪府)

「地域枠」設置アリ(一般選抜)

出願条件(一部抜粋)

注意が必要な特筆すべき条件のみまとめています。
ほかにも細かい条件があるため、必ず各大学の入試要項等で詳細を確認しましょう！

【一般選抜　大阪府地域枠】

・出身地などの制限ナシ
・合格後は入学を確約できる
・入学後は「大阪府地域医療確保修学資金」の貸与を受ける
・大学を卒業後、1年6ヶ月以内に医師免許を取得する
・大学卒業後、大阪府が指定する医療機関に9年間以上(初期臨床研修を含む)勤務する
・9年間のうち、初期臨床研修期間を除く4年間以上は、大阪府が指定する「医師の確保を特に図るべき区域」に所在する医療機関に勤務する
・初期臨床研修修了から5年間以上は、大阪府が指定する診療業務に従事する

関西医科大学(大阪府)

「地域枠」設置アリ(学校推薦型選抜)

出願条件(一部抜粋)

注意が必要な特筆すべき条件のみまとめています。
ほかにも細かい条件があるため、必ず各大学の入試要項等で詳細を確認しましょう！

【学校推薦型選抜　特別枠】

・出身地などの制限ナシ
・高校を卒業(見込み)した1浪まで
・合格後は入学を確約できる
・高校の調査書の成績が、評定平均値4.0以上
・大学を卒業後、原則2年間の臨床研修を関西医科大学で実施する
・専門研修以降、大学が指定する医師不足地域の医療機関で、医師不足診療科に10年以上(臨床研修を含む)勤務する

近畿大学(大阪府)

「地域枠」設置アリ(一般選抜)

出願条件(一部抜粋)

注意が必要な特筆すべき条件のみまとめています。
ほかにも細かい条件があるため、必ず各大学の入試要項等で詳細を確認しましょう！

【一般選抜　大阪府地域枠】

・出身地などの制限ナシ
・合格後は入学を確約できる
・入学後は「大阪府地域医療確保修学資金」の貸与を受ける
・卒業後、1年6ヶ月以内に医師免許を取得する
・医師免許取得後9年間(臨床研修期間を含む)、大阪府内の医療機関等に勤務する
・9年間の従事義務期間のうち、4年間以上は大阪府が定める医師不足地域の医療機関に勤務する
・9年間の従事義務期間のうち、5年間以上は大阪府が指定する診療業務に従事する

【一般選抜　奈良県地域枠】

・出身地などの制限ナシ
・合格後は入学を確約できる
・入学後は「奈良県緊急医師確保修学資金」の貸与を受ける
・大学を卒業後、2年以内に医師免許を取得する
・医師免許取得後は、知事が指定する病院において2年間の臨床研修に従事する
・臨床研修終了後9年間(臨床研修期間を含む)、知事が指定する医療機関において、へき地医療機関や特定診療科などで勤務する

【一般選抜　和歌山県地域枠】

・出身地などの制限ナシ
・合格後は入学を確約できる
・入学後は「和歌山県地域医師確保修学資金」の貸与を受ける
・大学を卒業後、2年以内に医師免許を取得する
・医師免許取得後は、9年間(臨床研修期間を含む)和歌山県内の公的医療機関に従事する
・臨床研修終了後、知事が指定する医療機関において、へき地医療機関や特定診療科などで勤務する
・9年間の従事義務期間のうち、1/2以上の期間はへき地医療機関に勤務する

【一般選抜　静岡県地域枠】

・出身地などの制限ナシ
・合格後は入学を確約できる
・入学後は「静岡県医学修学資金」の貸与を受ける
・医師免許取得後は、9年間(初期臨床研修期間を含む)静岡県の公的医療機関に従事する

兵庫医科大学(兵庫県)

「地域枠」設置アリ(一般選抜・学校推薦型選抜)

出願条件(一部抜粋)

注意が必要な特筆すべき条件のみまとめています。
ほかにも細かい条件があるため、必ず各大学の入試要項等で詳細を確認しましょう！

【一般選抜　A(4科目型)兵庫県推薦枠】

・出身地などの制限ナシ
・入学後は大学から修学資金の貸与を受ける
・大学を卒業後、2年以内に医師免許を取得する
・医師免許取得後は、9年間兵庫県が指定するへき地の公的医療機関に従事する

【学校推薦型選抜　地域指定制】

・兵庫県内の高校を卒業(見込み)した1浪まで
・兵庫県外の高校を卒業(見込み)した1浪までで、保護者等が1年以上兵庫県内に住所を有する
※上記条件のいずれかに該当していればOK
・合格後は入学を確約できる
・高校の調査書の成績が、評定平均値4.0以上
・卒業後の就労義務等はナシ