【東京工業大学】化学の入試対策 出題傾向と受験勉強法のまとめと解説

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こんにちは、四谷学院の理科担当、田中です。
このページでは、東京工業大学の入試「化学」について傾向と対策をお話していきます。

令和6年(2024年)10月1日に、東京工業大学と東京医科歯科大学が統合し、東京科学大学が設立されます。それに伴い、「東京工業大学」という名称はなくなり、「東京科学大学」となります。

東京工業大学の試験情報

東工大入試における二次試験の配点は、全科目で750点です。合格に必要な二次試験の得点は、およそ370~400点、つまり55%程度の得点率が目安と言えます。ただし、情報理工学院は特にレベルが高く、必要な得点も450点前後(得点率60%程度)となっています。また、年度によって難易度にムラがあり、2021年度のように各学部の合格者最低点が例年より50点ほど高かったこともあります。

理科の配点

東工大入試の配点は全科目で750点。そのうち理科は2科目で300点、数学300点、英語150点です。多くの理系大学では数学・理科・英語の配点が均等ですが、東工大では数学と理科が重視されていることが分かります。

東工大「化学」の出題形式

試験時間は、化学のみで120分。大問は3問構成で、各大問に独立した小問が5問ずつ(計15問)含まれています。

15問のうち8問程度は正誤問題で、「1つまたは2つの正答がある」という形式になっています。いわゆる消去法が使えないため、多くの受験生を悩ませています。たとえば正解が選択肢①だけの問題で、
「①は選べた。でももう1つ答えがあるような気がして、自信がないけど③も答えてしまった。」
こうなると無駄な失点が増えてしまいます。そのため、各選択肢を慎重に吟味する必要があり、抜けのない確実な知識が必要な試験と言えます。

残りの7問程度は計算問題や有機化学の構造決定です。しっかりと練られた良問です。なお、一昔前のような超難問が出題されることはなくなりました。基本問題・標準問題は完璧にした上で、応用問題を解く力も必要となります。また、途中経過を求められることはなく、記入するのは答えのみです。せっかく考え方が合っていても、計算ミスをすれば0点になってしまいます。計算力もしっかりと磨いておきましょう。

東工大「化学」の出題傾向

有機化合物・高分子化合物

東工大「化学」の入試問題は、例年、第3問の5問は有機化合物・高分子化合物からの出題です。正誤問題ではかなり細かい知識が問われることがあります。

たとえば2023年度には、「ビニロンは漁網やロープに用いられる」という選択肢がありました。ビニロンの製法や計算方法は覚えていても、その用途を正確に覚えている生徒は少なかったかもしれません。

構造決定は毎年1問出題されます。問題文が比較的短いため一見すると易しそうに見えますが、いざ考えてみるとかなり思考力が必要で、どれだけ演習してきたか経験値が問われます。また、糖類・アミノ酸・DNA・樹脂などの高分子化合物の問題も必出です。知識を整理するとともに、計算問題もしっかりと練習しておきましょう。

無機化合物

例年、無機化学単独の問題は2問出題され、2問とも「1つまたは2つの正答がある」正誤問題です。2023年度には「パラジウムが遷移元素かどうか」が問われるなど、細かい知識が求められることも少なくありません。しっかりと教科書や資料集・図説を読み込み、抜けのない知識を完成させる必要があります。特に、金属イオンの定性分析や金属のイオン化傾向は頻出です。確実に点数を取れるよう、しっかり準備しておきましょう。

理論化学

東工大「化学」入試では、8問が理論化学から出題されます。問題は多岐にわたり、様々な分野から出題されます。特に電気分解や結晶格子は出題頻度が高く、毎年のように出題されています。問題文は短くシンプルなものが多いですが、だからこそヒントが少なく、ペンが止まってしまう受験生も多いでしょう。まずはペンを動かし、解法の糸口を見つけ出す必要があります。

東工大化学の対策

全体的に思考力を要する問題が多いものの、中には標準的な問題も含まれています。東工大の化学は1問1問が独立しているため、難しそうな問題は後回しにして、標準的な問題や得意な単元から解き始めると良いでしょう。

問題を読んですぐに解法が分からなくても、じっくりと考え、今までやってきた学習からヒントや糸口を見つけていく「強さ」が必要です。その際に大切なことは、基礎が完成されていること。「やってきたことの中に必ず解法があるはず!」という自信があれば、諦めずに問題にあたることができるでしょう。

時間配分への対策

試験時間は15問で120分。正誤問題を1問5分で解くと考えると、残りの計算問題は1問あたり10分程度費やすことができます。

また、試験時間120分は他大学よりも長く、出題形式も「1つまたは2つの正答がある」タイプなど、他の入試問題ではあまり見ない形式が多くあります。東工大の過去問対策をしっかり進めておくとともに、長時間の試験にも耐えうる体力を身につけておきたいところです。

知識問題への対策

知識問題では、細かな内容が問われることもありますが、このような知識の土台となるのは“教科書”です。たとえば、先ほどの「ビニロンは漁網やロープに用いられる」という知識ですが、これは5社中4社の教科書の本文に掲載されています。また「ビニロンは強度が高い」という知識はすべての教科書の本文に掲載されているので、用途を連想することも可能でしょう。

難関校を目指す人は、「難しい計算ができる」「応用問題を解ける」ということへの意識が強い場合が多いのですが、東工大の入試問題を見ると、大学側は「化学に対して興味をもち、幅広く知識を学ぼうという意欲がある人」を求めていると言えます。「授業や自習である単元を学んだ後は、同じ単元の教科書を読んだり、資料集や図説を眺めたりする」などのように、日頃から習慣をつけておくことで、記憶の中には残っていくものです。そういう日々の努力が、本番で実を結びます。

計算問題への対策

計算問題は応用レベルが多いのですが、その根底にあるのは「基礎の理解」です。

たとえば結晶格子の問題は毎年出題されますが、その基礎の理解は完璧になっているでしょうか?代表的な結晶格子の充填率や密度、配位数などはパッと解法が浮かびますか?もし思い浮かばないようであれば、もう一度復習しましょう。そして、分からないところは先生に質問をして疑問を解消しておきましょう。基礎が固まったら、次は典型問題を練習します。イオン結晶の限界イオン半径比や黒鉛の結晶格子など、少し難易度の高いものにも取り組み、試験に出た際には思い出せるようにしておきましょう。
こうして引き出しを増やしておくことで、見たことのない結晶格子が出題されたときにも対応できるようになっているはずです。

まとめ【東京工業大学】化学の入試対策 出題傾向と受験勉強法のまとめと解説

東工大の化学では、出題形式への慣れ、知識の充実、そして基礎の理解を元にした応用力が求められます。中でも基礎をしっかり理解することが最も重要で、そのためにはプロの先生の力が必要です。

四谷学院のクラス授業では、難関レベルの授業でも、基礎の本質を理解することを重視しています。公式や解法の暗記ではなく、公式の成り立ちや意味をちゃんと理解することが、東工大の化学を解く上で必要になるからです。さらに55段階では、先生との1:1のやり取りを通して、「なぜこうなるのか?」という疑問を1つずつ潰すことができます。

気になる方は、まず四谷学院の説明会に参加してみてください!!東工大合格に向けた合格戦略について詳しくお話しいたします。

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