こんにちは。四谷学院英語担当、山岡です。
この記事では、東京工業大学の志願者に向けて「英語をどう対策していけば良いのだろう?」といった疑問に答えるために、「東工大英語のポイントとその対策」について紹介していきます。
目次
東工大英語 全体の傾向
東工大英語を詳しく見ていくにあたって、まずは全体像を確認しておきます。
①問題構成:毎年英作文を含む長文読解が2題出題されている。
②試験時間:90分
③解答形式:記述が中心であるが、選択式の問題も出題されている。
東工大を第一志望とされている方は、すでに入試傾向を確認しているかもしれませんね。東工大の英語は上記の形式が定着しています。
そして、「東工大英語」と言われて最も受験生が身構えるのが恐らく「英文の語数の多さ」なのではないでしょうか。実際に本文の総語数を確認してみるとなんと!
年度 | 本文総語数 |
2023 | 約3,500語 |
2022 | 約3,350語 |
2021 | 約3,120語 |
…とても多いですね。
一般的に入試で1,000語の英文なら問題用紙3ページ程度ですが、東工大の場合はそこからさらに2~3ページも英文が続きます。これだけ大量の英文を90分という制限時間内で読み、問題を解いていくことになります。ちなみに問題は「記述メイン」です。
初めて過去問を見てみたときに、英文の量に圧倒された人も多いのではないでしょうか。
英語の入試対策において、読解を早く正確に行う力は重要です。これは、東工大に限ったことではありません。それとともに、出題の特徴を知ることも重要です。東工大の入試問題に応じた対策をしていく必要があります。
ということでここからは、東工大英語で出題される各問題の特徴とポイントに焦点をあてて一緒に見ていきましょう。
東工大英語 問題ごとの特徴
大前提になりますが、英文を読む前にまずは設問に目を通しておきましょう。
何を問われているかわからないまま、やみくもに英文を読むというのは、いわば、「宝の場所が載っていない地図を持って宝を探しに行くようなもの」です。当然、相当時間がかかってしまいますね。宝の場所が地図に載っていればそこをめがけて一直線に進むことができるように、読解問題も先に問題を見て、答えるべきことを把握したうえで意識的に英文を読んでいくことが効率的です。
問題の全体像は先ほど確認したので、ここでは具体的な問題内容を見てみましょう。
東工大の英語で出題される問題は主に以下です。
①英文和訳
英文和訳の問題は、大問ごとに2題出題されるのが基本です。東工大英語と聞くと難関なイメージを持つ人も多いかもしれません。確かに本文中に出てくる単語は基礎レベルのものから高いレベルのものまで幅広く、大学受験頻出レベルの単語だけではまかないきれないような単語も出現します。
しかし英文和訳の問題についていうと、実は下線部の長さはそこまで長いものではなく、高校の教科書で扱うような基礎的な文法や構文のポイントがメインであり、語彙レベルも標準的なものです。
実際の問題を見てみましょう。これらの文法事項・語法を含む英文の和訳が出題されました。
大問1
問2:so 形容詞 that S+V構文 / it is 形容詞(for 人)to V構文
問3:A as well as B / provide A with B / 分詞構文(2023年出題より抜粋)大問2
問1:関係代名詞 / otherwiseの訳し方
問4:完了動名詞 / while Ving
どれも見たことのある表現ではないでしょうか。修飾関係も複雑なものではなく、語彙も標準的なものだったため、文法・語法事項を押さえておけば和訳をするのにそこまで苦戦することはないはずです。
②和文英訳
次は、和文を英訳する、いわゆる英作文です。こちらは大問ごとに1-2題、全部で2-3題出題が基本になっています。英文和訳と同じで、基礎的な文法や構文のポイントがメインであり、語彙レベルも標準です。また英文中に出てきた単語を使用することができることもあります。
実際に2023年の問題では、depend on[upon] A for B / 関係代名詞のwhat / make it C to V…等(こちらも見たことのある文法や語法が並んでいますね!)が出題されました。
ここまで見てみると、教科書に載っていないような難しいことをやるよりも「普段基礎として扱う文法・語法を押さえられていること」「大学受験に必須の語彙レベルは確実に身につけておくこと」が必要だとわかりますね。まずはこれらの基礎をしっかり理解して押さえておくことが肝心です。
なお、本文中にはレベルの高い単語も出てくるので基礎をマスターできたら1つ上の上級レベルの単語を扱った単語帳も扱っておきましょう。
③内容説明(記述)
東工大の入試英語3つ目のポイントですが、下線部に対する内容説明問題が各大問1題ずつ出題される形式が定着しています。字数制限が設けられており、30~80字と字数は年度によって様々です。この問題が最も記述量が多く、前後との文脈のつながりを意識する必要もあります。
実際に問題を見てみると、下線部の直後の文や同じ段落内の内容をまとめるといった比較的見る範囲が狭い問題だった年度もあれば、段落を(前後両方に)またいだ箇所に解答の根拠となる文が述べられていた年度もあります。すぐ近くに答えがあると思いこまず、以下2点を意識しましょう。
(2) 下線部に関係のある場所を特に意識して読む
出題例
では、具体的な問題を見ていきましょう。2023年度入試問題「大問1問4」です。分光光度計の発明が、それ以前の色の計測における2つのどんな問題点を改善したのかを70字以内で答える問題でした。
→色を計測するうえでの問題点について述べている場所を重点的に読む。
そもそも、これだけ語数の多い問題で全ての英文をしっかり読んでいては時間が間に合いません。問題を把握し、問題に対して必要な文を特に意識して、それ以外は内容を押さえつつ流し読みしていくイメージで読み進めていくとよいでしょう。
とはいえ、段落の内容を把握したり、前後の関係性を把握したりすることはそう簡単にできるものではありません。短い文章でも構わないので、普段長文読解の勉強をする際に段落ごとに要約をする練習もあわせて行うとよいでしょう。段落の横に「〇〇について」と短くメモしておく方法もおすすめですよ。
④文の空所補充
最近の東工大英語入試で頻出の形式は、文の空欄補充問題です。文章中に5ヵ所空所部分があり、そこに適した1文を選択肢から選ぶ問題になっています。
文を入れるとなると「話の流れがわかっていないと解けないのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、実際に問題を見てみると、全て解答の根拠が空所の直前もしくは直後の文にあることが多いようです。また、選択肢内にある単語と同じ単語もしくは似たような単語が直前 / 直後の文に含まれているケースもあったので、割と選択しやすいような問題になっています。
長い文章を読んでいて内容がわからないと、つい不安になったり焦ってしまったりしがちですが、もし「全体の内容がしっかりわかっていないな」と感じても諦めずに直前と直後の文を意識的にチェックしてみると答えが見えてくるかもしれません。
ただし、直前 / 直後の文に答えの根拠が絶対にある!という確実性は今後保障されるわけではないので、あくまで「まずは直前 / 直後の文を見てみる」→「そこで判断できなかったら注目する文の幅を広げてみる」という意識で読んでみましょう。
⑤内容合致問題
東工大英語の入試問題、各大問の最後の問題です。例年大問1では10個の選択肢から当てはまるものを3つ、大問2では7~9個の選択肢から2つ選択する形式になっています。
内容合致問題で気になるのが「選択肢は文章内で出てきた順に並んでいるか」ということですが、順番通りに選択肢が並んでいる場合が多いようです。選択肢の順番が本文に一致していないよりは気持ちが楽ですね。
そしてこの問題の特徴は2点あります。
まず1つ目は、選択肢に人物名など固有名詞が出てくるケースが多いことです。そのため本文中に出てきたらチェックをつけておくとか、ぱっと見てわかるように段落の横にメモしておく工夫しましょう。後から該当箇所を探しやすくなります。数字やその段落内の主な内容となっているキーワードなど、後からすぐに思い出せるようなワードにはチェックを入れておくのもおすすめです。
そして2つ目は、「本文に全く記載がない」選択肢が多いことです。実際に設問と選択肢を見てみると、2023年大問1問7の問題では10個の選択肢中、なんと半分以上の選択肢は本文に記載のないものでした。そういった選択肢は本文を探しても該当箇所が見つからないため、特に全体の内容がしっかり把握しきれていない場合は悩んでしまう可能性が高くなってしまいます。東工大に限らず、英語に限らずですが、「本文に書いていないことは絶対に選ばない。本文に確実に書いてあることに忠実になって選択する」という点をしっかり意識していきましょう。
解き方のパターン
内容合致問題を解く際、解き方は様々です。たとえばこのような解き方のパターンが考えられます。
パターンB「段落を読み終える毎に選択肢を確認する」
もしもあなたが、本文の量も長く選択肢が多いので、段落が終わるたびに吟味していると時間がかかってしまいそうだ。そのロスは減らしたい!ならば、パターンAの方法がおすすめです。
一方で、これだけ本文の量が長いなら、段落が終わるごとに選択肢を見た方が、早めに選択肢を絞ったり正解となる選択肢を選べたりできそうだ!という人はパターンBの方法がおすすめです。
それぞれのスタイルがありますから、練習する際にいろいろな方法を試してみて、自分に合った解き方で解いてみましょう。
東工大英語 英語の対策
さて東工大英語の5つの問題形式について紹介してきました。各問題の特徴とポイントは把握できましたか?実際に問題を解いてみて特徴を体感してみると、より対策のイメージがつかめると思います。
他にも語彙の意味に近いものを選択肢から選ぶ問題や2022年には計算を必要とする問題も出題されています。過去問を確認して実際にどんな問題が出ていたか見ておきましょう。
そして、各問題の傾向を把握するのと同じくらい、もしくはそれ以上に大切なのが、英文を速く正確に読んで問題に対応できる力を身につけておくことです。そのための具体的な方法は、以下の記事で紹介しています。ぜひチェックしておいてくださいね。
まとめ「【東京工業大学】英語の入試対策 出題傾向と受験勉強法のまとめと解説」
今回は東工大英語の対策に向けた傾向の把握と各問題の特徴、具体的な対策方法を紹介してきました。まずは問題ごとの傾向と特徴を把握したうえでそれらに応じた対策をしていきましょう。そして語数の多い読解問題に対応していくためにも、基礎的な文法事項や構文をしっかり理解したうえで、よりスピーディに読解できるように訓練していきましょう。
四谷学院では、集団と個別の「ダブル教育」を通じて、東京工業大学の問題に十分に対応できる力を養うことができます。東京工業大学の特徴をおさえて得点力を磨き、合格をつかみ取りましょう!
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