こんにちは、四谷学院の化学担当田中です。
今回は、早稲田大学の入試「化学」について、傾向と対策をお話ししていきます。
早稲田大学第一志望の方はぜひチェックしてみてください。
目次
早稲田化学の試験情報
早稲田大学で化学が出題される学部は、理工系3学部(基幹理工・創造理工・先進理工)、教育学部、そして人間科学部です。
学部によって配点は異なりますが、どの学部も全科目合計で概ね6割以上の得点が必要となります。理科は比較的得点しやすい科目だと考えると、化学でも7割以上を目指したいところです。早めにしっかりと準備して化学を得点源にしていきましょう。
・基幹理工学部
・創造理工学部
・先進理工学部
・教育学部
・人間科学部
理工系3学部(基幹理工・創造理工・先進理工)の化学
早稲田大学理工系3学部の化学について、出題形式と大問ごとの出題傾向を詳しくみていきましょう。
出題形式
試験時間は理科2科目で120分、実質的には化学の試験時間は60分です。
大問は3問構成で、第1問は小問10題から成り、1題の小問につき3個の設問があります。つまり第1問だけで計30個の設問に答える必要があります。これらの設問をいかに速く解き、残りの第2問と第3問に時間を残せるかがカギになります。解ける問題と解けない問題を見極め、素早く問題を処理していくスピードが求められる試験といえます。また、第2問と第3問はマークシート方式ではなく記述式で、2022年度には描図問題、2020年度には短めの論述問題が出題されています。そのため、有効数字を含めた正確な計算力を身につけるとともに、論述問題への対策も必要になります。
出題傾向
第1問
第1問は理論化学、無機化学、有機化学(高分子化学も含む)からバランスよく出題されます。知識を答えるだけの問題もあれば、計算を必要とする問題もあります。難易度は標準的なものが多いため、各単元に穴がない状態で試験に臨み、第1問でしっかりと得点を重ねたいです。
ただし、上記のように小問10題で計30個の設問があるため、一つ一つの問題でじっくりと考えている時間はありません。知識問題であれば、知っているものは瞬時に正解を見つけ出し、知らないものは後回しにしましょう。計算問題にも多くの時間を費やすことはできないため、典型的な問題であればすぐに解法が思い出せるよう練習をしておく必要があります。
第2問
第2問は理論化学と無機化学の融合問題が出題されます。無機化学はマイナーな知識が問われることは少なく、基本~標準レベルの知識が求められます。銅と濃硫酸の反応など、頻出の化学反応式はパッと書けるよう練習しておきましょう。また近年だと、実験操作に関する問いも出題されており、教科書をしっかり学習することも効果的です。
理論化学では、2022年度にはレドックスフロー電池という聞きなれない装置が出題され、2021年度には反応速度定数と活性化エネルギーと絶対温度の関係を式やグラフで考える問題が出題されています。見たことがないと難しく感じますが、基礎がしっかり定着していれば、それらを応用することで糸口が見つかります。また計算は煩雑なものも多く、普段から計算力を磨いておくことも大切です。
第3問
第3問は有機化学と高分子化学が出題されます。構造決定・実験操作・高分子化合物・油脂など、年度によって幅広い範囲から出題されているため、受験生の穴になりやすい油脂などもしっかりと対策をしておくことが必要です。
難解な構造決定が出題されることは少ないため、「各物質の反応や性質」「異性体」などの知識が体系的に正しく理解できていれば、十分に対応できるでしょう。ただし全体として制限時間の厳しい試験になるため、必要な知識をパッと取り出す反射神経が求められます。
教育学部の化学の出題傾向
試験時間60分で、大問の数は年度によって異なり4問~6問程度になります。
理工系3学部に比べると計算問題の数が少なく、例年5問程度しか出題されません。難易度も標準的なものが多いため、確実に得点したいです。ここでライバルに差をつけられないようにしましょう。特に結晶格子の計算問題は出題頻度が高いので、典型的な結晶格子を中心に、密度や充填率の求め方を完璧にしておきたいです。
また、論述問題が例年3問程度出題され、ここの出来が合否に大きく関わってくると思われます。ただし、テーマが多様性に富み、対策が取りにくいことが特徴です。2023年度はバイナリー発電についての考察、2022年度はコンタクトレンズの素材についての考察、2021年度は地球温暖化の因果関係の考察と、通常の授業では習わないテーマについて考える力が試されます。普段から様々なことに興味をもち、なぜそうなるのか?という疑問を大切にすると良いでしょう。
無機化学では細かい知識が問われることも多く、知識の漏れがないよう準備をしておくことが重要です。
有機化学や高分子化学は比較的取り組みやすい問題が多いですが、やはり細かい知識が問われやすいです。基本知識を早めに完成させ、プラスαの知識を蓄えておきましょう。
人間科学部の化学
早稲田大学人間科学部の化学について、出題形式と大問ごとの出題傾向を詳しくみていきましょう。
出題形式
試験は60分、大問は5問で、すべてマークシート方式になります。
各大問に4つの設問があり、各設問で3~5つの解答を選択します。つまり全部で50~70個のマーク数になります。これを60分で解くわけですから、やはり処理スピードが必要となります。解ける問題と解けない問題を素早く見極め、パッパッと解き進めていかなければなりません。
計算問題は例年4~5問程度で、難易度は標準的です。確実に得点できるよう、練習しておきましょう。
出題傾向
知識を問う選択問題では、複数ある選択肢の中から「すべて選びなさい」という形式が多いです。難易度は標準レベルですが、消去法が使えないため、確実な知識を蓄えておく必要があります。
扱うテーマは高校で習わないようなものもあります。2023年度には「ノーベル賞の受賞歴」「毛髪のパーマ」「イタイイタイ病」など、化学の歴史や日常生活の中の化学についても出題されています。一見戸惑うかもしれませんが、問われている内容は特別なことではありません。落ち着いて考えれば、今までに学習してきたことの中に答えがあることに気付けるはずです。
また、有機化学の立体構造に関する問題は頻出です。不斉炭素原子、鏡像異性体、メソ体などを理解している必要があり、過去問などでしっかりと練習しておく必要があるでしょう。
早稲田化学の対策の仕方
学部ごとの出題傾向にも書いたとおり、早稲田の入試では限られた時間で多くの問題に解答していく処理速度が求められます。そのため、時間をかければ解法を思い出せるというレベルでは、早稲田の入試問題を解く上では武器になりません。まずは基礎をしっかりと理解し、教科書レベルの基本事項をすぐに使いこなせる力を身につけましょう。また、各単元の典型的な問題は何度も練習し、問題を読んだ瞬間に解法が頭の中に浮かんでくる状態を目指しましょう。
例えば、「結晶格子のダイヤモンド型の密度を求める」「鉛蓄電池の硫酸の濃度変化を求める」「酢酸のpHを求める」「オストワルト法の計算」「アニリンの反応経路」「アミノ酸の等電点を求める」などの典型問題を耳にした際、すぐに頭の中に解法がイメージできるでしょうか?すぐに解き方が思い浮かぶ人は、基本事項がきちんと整理されているといえるでしょう。逆に解法が思い浮かばない人は、教科書の各単元をもう一度復習し、自分で理解できなければ先生に質問に行くなどして解決しましょう。
問題例まずは鉛蓄電池の正極・負極の半反応式を準備し、それらを組み合わせた電池全体の化学反応式を書きます。すると、流れた電子の物質量と同じ物質量の硫酸が消費され、同じ物質量の水が生成することが分かります。あとは問題文から電子の物質量を求め、それを元に硫酸と水の質量変化を計算していきます。
単に「流れた電子の物質量と同じ物質量の硫酸が消費され、同じ物質量の水が生成する」という知識を暗記して解くこともできますが、きちんと各極の半反応式を理解して書けるようにしておくことが応用問題にも繋がります。
電池は頻出問題で、2023年度と2021年度には燃料電池、2022年度には上述したレドックスフロー電池、2020年度には鉛蓄電池と様々な種類が出題されています。ただ、どの問題も「半反応式を準備して電子の物質量を元に考える」という基本的な考え方は同じです。正しい理解をしていれば、大きな得点源になることでしょう。
まとめ【早稲田の化学 入試対策 学部別の特徴と難易度を解説! 】
早稲田大学の化学では、基礎の正しい理解、穴のない知識、基礎を使いこなす応用力、そして解くスピードが求められています。この出発点となる、基礎の正しい理解には、受験化学を熟知したプロの先生の力が絶対に必要です。
四谷学院では集団と個別の「ダブル教育」で早稲田大学合格を目指します!
クラス授業では、難関レベルの授業であっても、基礎の本質を理解させることを重視しています。基礎をきちんと理解してこそ、テクニックやスピードアップなどの応用力に繋がっていきます。
55段階個別指導では、自分の書いた答案をもとに先生とマンツーマンでやり取りができるので、「なぜこうなるのか?」という疑問を一つずつ解決することができ、本質の理解につながります。計算の仕方など細かい点もチェックしてもらえるので、早稲田大学の入試に必要なスピードを上げるのにも大いに役立つでしょう。