こんにちは、四谷学院の数学担当、佐藤です。今回は、2023年度の東京大学入試から、注目すべき問題をとりあげて解説してみようと思います。
東大 入試問題
黒玉3個、赤玉4個、白玉5個が入っている袋から玉を1個ずつ取り出し、取り出した玉を順に横一列に12個すべて並べる。ただし、袋から個々の玉が取り出される確率は等しいものとする。
(1) どの赤玉も隣り合わない確率pを求めよ。
(2) どの赤玉も隣り合わないとき、どの黒玉も隣り合わない条件付き確率qを求めよ。(2023年 東京大学 共通問題より)
東大数学は例年文系4問、理系6問の出題で、1~2問が文系と理系の共通問題として出題されます。本問が23年度の共通問題で、数学A「場合の数と確率」からの出題です。特別な知識はまったく必要なく、高校で確率を学習した高1生ならチャレンジできる問題です。
解答(1)
解説
(1)は教科書レベルと言ってよいでしょう。「~~が隣り合わないような並べ方」を求めるには、まず~~以外を先に並べて、そのあと~~を割りこませればよい。
余事象を考えて、「隣り合う赤玉があるような並べ方」を全並べ方から引く、と考えることもできますが、「隣り合う赤玉がある場合」には
4個並んでいる
3個並んでいて1個はなれている
2個ずつ2ヶ所に並んでいる
2個、1個、1個と並んでいる
などをうまくより分けて考える必要があり、めんどうです。
また、上の解答では「すべての玉を区別して考える」としましたが、「同じ色の玉は区別しない」として解くこともできます。この場合は、
となり、上の解答でpを求める式の分子と分母がそれぞれ3!4!5!で割られることになります。どちらでも自分の考えやすい方で解けばよいでしょう。ここでは全部区別する方向で説明しています。
さて、つぎの(2)が本題です。条件つき確率が問われているので、「どの赤玉も隣り合わず、かつ、どの黒玉も隣り合わない確率」を求めて、それを(1)の答えで割ればよい、ということはわかるでしょう。しかし、それを具体的にどうやって求めるかというと…、うまい求め方が見つからずに、手が止まってしまう人が多いのではないでしょうか。
解答(2)
解説
別に特段うまい解き方があるわけではありません。いっぺんに求めようとするのではなくて、条件をみたすような玉の配置を場合分けして、「もれなく、ダブりなく」数え上げていくだけです。教科書レベルの基本を徹底することが、ここでは要求されています。
上の解答以外にも解く手順はいろいろ考えられるでしょう。「効率のよい解法」だけに目をとられることなく、さまざまな解き方を試すことが頑健な数学力を築いていきます。このような頑健な数学力が、東大では求められるのです。
まとめ
東京大学の科目ごとに入試対策について、詳しくまとめました。ほかの科目の入試対策についても参考にしてみてください。
⇒ 【東大への地理】東大地理対策をする上で必須のことは?傾向と対策を解説
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