この記事では、共通テストの「国語」について具体的な内容と、試験に向けて有効な対策法を解説していきます。
出題内容
共通テスト「国語」は、大問4つで構成されており、第1問が評論、第2問が小説、第3問が古文、第4問が漢文です。
センター試験においては、各大問では基本的に課題文は一つでした。しかし、共通テストでは、各大問で複数の課題文が出題されており、この点がセンター試験との大きな違いです。複数の文章の主旨を読み取り、それらのあいだの類似点や差異について正確に理解することが求められます。これは、一般入試ではまだ一部の大学にしか見られない特徴になりますので、この傾向をしっかりと踏まえた対策が必要です。
配点
共通テスト「国語」の配点は、各大問とも50点で、合計200点満点です。
令和7年度からは、新しく第3問として資料読解問題が追加され、配点は第1・2・4・5問が45点ずつ、第3問が20点(合計200点満点)に変わる予定です。
試験時間
共通テスト「国語」の試験時間は80分です。
令和7年度からは、90分に変更される予定です。
共通テスト国語の特徴
まず、【出題内容】でも説明した通り、大問ごとに複数の課題文が出題されることが最も大きな特徴です。課題文ははじめに二つ提示される場合もあれば、最初はまず一つの課題文を読ませて、設問のなかで関連する文章や資料を提示する形式の場合もあります。これは大学の一般入試ではあまり見られない特徴になりますので、複数の課題文や資料の主旨を理解した上で、それらのあいだの異同を的確に見抜く技術を身につける必要があります。
具体例を見てみましょう。クリックすると表示されます。
この問題は、学校の実際の授業をシミュレートしたものになっており、小説本文の理解を深めるために教師が同時代の【資料】を提示しています。生徒であるWさんはその【資料】と本文の内容との共通点について考察し、【構想メモ】【文章】を書いたという設定になっています。
こうした体裁に慣れていないと、【資料】【構想メモ】【文章】の、いったいどこを見ればよいのか戸惑ってしまうことでしょう。しかし、共通テスト特有の形式を事前に知っていれば、答えを出すことは決して難しくありません。設問文および【文章】の空欄Ⅰの前後にある「共通点」に着目して、その上で、本文で扱われた終戦後という時代状況および登場人物の「仕事のやり方」、そして【資料】中の広告とのあいだにある「共通点」(戦中=戦後)を考えればよいのです。
共通テスト国語の攻略法
特に共通テストの科目のなかでも、国語は時間内に解き終えるのが難しいと言われています。テーマなどの関連があるとはいえ、設問中に別の出典の文章や資料が提示されるわけですから、先の本文の主旨を念頭に置きながら、別の文章の主旨や資料の特徴と比較・照合しながら問題を解いていく、という複雑な作業が必要になるのです。したがって、正解となる選択肢を見抜くために必要な情報を効率よく押さえていかなければなりません。繰り返されているフレーズは何か、傍線部直前直後に特徴的な表現や語句はなかったか、傍線部と因果関係をつくっている箇所はないか、傍線部中の指示語がさしている語句は何か、等々。
こうしたポイントを絞った読解によって、選択肢を吟味する際に必要な情報が効率よく記憶に残るようになり、またそれらを総合した本文全体の主旨と、別の文章や資料との異同を素早くかつ正確に比較・検討することが可能になるのです。
四谷学院であれば、経験のある講師が具体的なケースについて、それをある程度普遍化した形で解説してくれますし、決められた時間内でみんな一斉に解きますから、大問一つにかけるべき20分なら20分という時間を体に染み込ませることができます。まさにこの点にこそ予備校で共通テスト対策を行う意義があると言えるでしょう。
共通テスト対策「これだけはやめて!」
繰り返しになりますが、共通テストの国語は、80分という制限時間内で全ての問題を、余裕をもって解くのが難しいテストです。したがって、評論・小説・古文・漢文という大問4つで構成されているテストに対して、自身がどの科目から解くべきなのか、どの科目に何分くらいの時間をかけるべきなのか、そうした戦略を事前に決めておく必要があるのです。
練習でも本番でも絶対にやってはいけないのは、何の方策もなく、最初から順に解き始めて、途中ですぐに答えが分からなかった設問に、その都度多大な時間をかけてしまい、ついには漢文を5分で解かなければいけない羽目になった…などという無為無策の演習です。漢文は比較的満点が取りやすい科目である、などという事実を考え合わせれば、上のような解き方が、どれほど効率を無視したものであるかは、すぐに分かることでしょう。
現代文を普段から読んでいて、得意にしているような人でしたら、評論・小説にそれほど時間を取られることもないため、順番どおりに解くのもよいでしょう。しかし、古文や漢文は、現代文に比べると、知識があればすぐにそれが得点に結びつきやすい科目と言えます。
したがって、受験生各自が、各大問=科目を、どのような順番で解くのか、それぞれに何分くらい時間をかけるべきなのか、どのように解けば効率が最大になるのかを常に念頭に置いたうえで演習に取り組むべきなのです。
過去問題の活用
これまで述べてきたように、共通テストには、複数の課題文を読解するという特徴があります。しかし、ある一つの文章を読んでその主旨を効率よく正確につかみとる、という作業自体は変わったわけではありません。その意味で、過去のセンター試験を解くことは非常に有効です。一つひとつの問題がよく練られており、そこで要求されている力を身につけることは、共通テストを解く上でも必ず役にたちます。ぜひ有効活用して下さい。
そして、ある一つの課題文を読み解くための知識や技術、そして本文の内容・主旨と選択肢とを比較する手順や方法をマスターしたら、その上で、複数の課題文が提示されている共通テストの過去問題に取り組むと、無駄がないでしょう。
高1高2の共通テスト対策
令和7年度より、共通テスト国語は現在の大問4つの構成から、大問5つに変更になります。
それに伴い時間も80分から90分に増えます。新しく第3問として加わるのは、複数の資料を比較・照合して選択肢を吟味する資料読解型問題です。すでに大学入試センターによって2つの試作問題が発表されていますが、実際に問題を解いてみると、確認すべき資料が多く、10分で解くのは非常に厳しいことが分かります。
つまり、すでに今でも、国語は時間内に解き切ることが難しいテストと言われているのですが、現在高1高2生のみなさんは、さらに時間内に解くのがハードな試験に立ち向かわなくてはならないのです。
そのためには、各大問にかける時間配分を常に意識して演習すると同時に、資料読解型問題の対策として、グラフや図表など複数の資料を素早く参照したうえで、その特徴を見抜くといった訓練を積み重ねていかなくてはなりません。対策は早ければ早いほど有利です。今のうちから、共通テスト対策を万全にしていきましょう。