大学入試センター試験は2019年度で廃止となり、2020年度からは「大学入学共通テスト」がスタートすることになりました。
大学入学共通テストでは、従来とは大きく異なり、「思考力や判断力」を重視する傾向が非常に高いといわれています。ですが、2019年11月~12月におこなわれた文部科学省の発表によって、2020年度の試験では当初の予定とは違う方向性になることがわかっています。
この記事では、大学入試センター試験から大学入学共通テストに変わった経緯や背景、そして高校生の皆さんに知っていただきたい具体的な変更点を解説します。
※この記事は、2020年4月17日時点での情報です。最新の受験情報は大学入試センターなどの公的なホームページで必ずご確認ください。
目次
センター試験が大学入学共通テストに変わる
センター試験が大学入学共通テストに変わった背景を知るには、まず「そもそも大学入試センター試験がどんなものだったのか?」を把握する必要があります。
1990年~2020年まで続いてきた大学入試センター試験とは、高校で学んだ基礎的な学力の習熟度を測るというのが、当初の主目的でした。そして、国公立大学の二次試験などに向けて迅速な採点が必要となるセンター試験では、極端な話、知識の丸暗記である程度の点数が取れる、マークシート方式での出題がおこなわれていたのです。
主要教科の英語についても、「読む・聞く」の2技能だけを問う比較的シンプルな指針で問題が考えられていました。また、センター側の事情による影響は、国語や数学などの科目にも及んでいたのです。
現代社会の教育ニーズに合わない大学入試センター試験
急速なグローバル化などで今後の先行きが不透明な時代の到来によって、大学入試センター試験における諸問題への指摘は増大することになります。そして、「問題の発見と解決や、新たな価値を生み出す思考力や判断力が必要」という国の考えにより、知識量でカバーできる問題の廃止に至ることになりました。
これが、大学入試センター試験がなくなり、大学入学共通テストが生まれるまでの経緯となります。
大学入学共通テストにおける当初の方針
大学入学共通テストにおける当初の予定では、思考力と判断力を評価するために、従来のマーク式の問題に加え、国語と数学に「記述問題」が一部出題される方針でした。
また、英語ではマーク式とリスニングの「読む・聞く」という技能のほかに、外部の民間試験を活用し「話す・書く」を含めた4つのスキル(英語4技能)が問われる予定だったのです。
しかしながら、これだけ革新的な考えによって大注目されていた大学入学共通テストにも、さまざまな運用上の問題がありました。そして多くの有識者からの指摘を受けた結果、英語や国語、数学における指針や具体的な出題方法が、当初の予定と比べて大きく変わることが、2019年11月と12月の記者会見で発表されたのです。
記述問題が導入延期になった国語・数学!出題方針に変更はある?
国語と数学については、2020年度の大学入学共通テストから導入予定だった記述式問題が見送られることになりました。この結論の背景には、一部の教育関係者などから指摘されていた以下2つの問題が影響しています。
1.大勢の採点者が、同じ基準で公平な採点をすることが難しい問題
2.センター側の採点と、受験生側の自己採点結果の食い違いで生じる不利益の問題
マークシートのように簡単に機械で読み込めない記述式の場合、国公立大学などの試験日程に間に合わせるために、たくさんの採点者に答案用紙を目視してもらう採点作業が必要となります。そして当初の予定では、学生アルバイトもこの作業に参加するといわれていたのです。
大学入学共通テストにおける国語と数学の出題方針
こうした理由で記述式の導入が見送られた国語と数学ですが、新しい出題傾向や指針については、やはり従来の大学入試センター試験とは大きく異なるものとなります。
まず国語では、2回実施された共通テストのプレテストで、実用文が出題されています。これは、多様化する情報の中で、重要な部分を見極める能力や判断力を測る目的からくるものです。
一方、問題解決の構想力や方略などを重視する数学では、高校で学んだ数学の知識だけでは解けない特殊な問題が、2回のプレテストで出題されていました。
この両者に共通しているのは、複数の資料を読み取り、必要な情報を選択・整理して、条件に応じた解答を導き出す能力が求められるということです。
記述式の見送りにより、考えをまとめてわかりやすく記述する出題はなくなりましたが、それでも、国語や数学で「過程」を重視する出題指針はそう大きく変わることはないと捉えて良いと思います。
英語の民間資格や検定試験導入も延期!出題方針の変更ポイントとは?
英語の方では、従来の「読む・聞く」に加えて「書く・話す」の評価に活用予定だった民間資格や検定試験の導入が延期になりました。
文部科学省がこの結論に至った背景には、受験生の在住エリアによって受けられる検定の選択肢が異なる地域格差や、裕福な家庭とそうでない家庭の経済格差の問題が影響しています。
大学入学共通テストにおける英語の変更点
こうした経緯により、2020年度の大学入学共通テストでは、従来と同じ「リーディング」「リスニング」の2技能で設問がつくられることになりました。そして英語においては、以下のポイントで大きな変更が入ると考えられています。
・アクセント、発音問題などの消滅
・設問分の完全英語化
・単語量増加による難易度の上昇
・リスニングの配点が倍になる
当初は民間試験の活用予定だった英語において、「話す・書く」の領域にあたるアクセントや発音問題は、大学入学共通テストに取り入れない方向で調整が進められていました。ですから、2020年度の共通テストにおいては、大学入試センター試験の大問1で出題されていたアクセント、発音、語句の並び替えといった問題が出題されない可能性が高いです。
そしてリスニングの配点は、センター試験の2倍となる100点に変わります。そして、大学入学共通テストにおけるリスニング問題文の読み上げは、「2回読み」と「1回読み」の両方で構成されることが決まっているようです。
大学入学共通テストの対策は四谷学院へ!
センター試験から大学入学共通テストで大きく異なる点は、「シンプルに知識を問うもの」から、「知識を活用して多角的に考え、わかりやすく表現するもの」という方針の変更です。
しかしながら、記述式問題や民間試験活用の見送りにより、2020年度の大学入学共通テストでは、表現などのアウトプットの部分を評価する出題が難しくなっています。ですがそれでも、今まで知識を重視していたセンター試験と、それだけではない共通テストにおける大きな違いが変わることはないでしょう。
そして、問題のベースとなる知識は教科書の内容と変わりありません。ですから、従来と同じ知識を習得する学習方法に加え、思考力とまとめる力を養う対策を積極的に取り入れるのがおすすめです。こうした話をすると、「思考力や判断力を自分で身に付けるのは難しいのでは?」と感じる学生さんも多いのではないかと思います。
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※この記事は、2020年4月17日時点での情報です。最新の受験情報は大学入試センターなどの公的なホームページで必ずご確認ください。